トオキ ハル

時は早春、卒業式も間近な三月のとある日。

「仲良し三人組」の高校生たちが、思い出の地で遭遇したある事件とは…?

――異変の予兆――

 

KP:「…たたたっ、たたたたっ。かさかさ、がさがさ」

樋口:もしもし、すみません。警察ですか?

KP:「…かりかりかりかり」そんな雑音しか聞こえません。

樋口:なんだ、これは!?

相模:ひぃええ~!?(笑)

早川:圏外になっているわけではない? じゃあこっちは、パソコンを起動して、インターネットが繋がるかを見よう。

 

 結果、インターネットは繋がった。メールやツイッターに書き込みも出来る。ただ、今のところ新しいメールは届いていないようだった。

 

KP:さて、〈聞き耳〉。

樋口:成功。21。

相模:ひー。素です。失敗。

早川:ああ、失敗。

KP:えーと、このログハウス森の中に建っているので、割と静かなんですが。建物の中であちこち、かりかり、かりかりという音や、とととっ、とととっと何かが駆け回るような音が。

樋口:鼠か?

KP:そんな感じですね。

樋口:とにかく、誰かに知らせに行こう。ドアを開けようとノブに手を伸ばして、ちょっと止まってから、二人の方に振り向きます。「なあ」

相模:な、何?

樋口:目の前で、知り合いが死んでるんだぞ。普通なら、もっと悲しくなったり、慌てたりするよな。何なんだろう、全然そんな気持ちも起こってこないし、俺はどうかしちまったのかな。

相模:びっくりしすぎて、訳わかんなくなってるんだよ。

樋口:後から悲しくなってきたりするのかな…。

早川:例えば車に引かれたとか、ほんとに死ぬ瞬間を見てたんなら、衝撃もあるでしょうけど。それが、すっぱりと無いんですよね。

KP:全員、〈アイデア〉。

早川:これ、なんか…。あ、05とかいっちゃった。

KP:おおー。

樋口:成功。

相模:うん、成功。

KP:では、要さんがなぜ死んだのかを思い出そうとして、ふと昔のことを思い出しました。

 

 それは子供の頃、幼稚園にいたころの記憶。
「要ちゃんは体が弱いから、無理させないでね」
そう、自分の親から言い聞かされた記憶だった。

 

樋口:ふむ。しかしこれをここで考えていても、何か分かる訳でもないだろう。扉を開けます。

 

 扉を開けた樋口は、外に出ようとして足を止めた。扉のすぐ外に、何か黒っぽいものが、ころころと10個ほど転がっている。それはいずれも四肢を強張らせた、ドブネズミの死骸だった。

 

相模:うぉわ!?

早川:それはちょっと引くわ! わああ!

KP:SANチェック。

樋口:成功。68。

相模:成功。

早川:あ、失敗した。(笑)どんどん減ってく。(笑)

樋口・相模:あれぇ~?(笑)

KP:では、成功した人は0。失敗した人は、1点で。

早川:ああ、66になった。/p>

樋口:じゃあ、ちょっとぎょっとして。「死骸、か?」

KP:死骸です、あからさまに。で、失敗した、早川くん。その瞬間に、頭にフラッシュバックすることがあって。

早川:ああ、どんどん不幸な方向に。

相模:早川くん~。(笑)

KP:これもやっぱり、子供の頃の記憶。小学校ぐらいかな。何かを、「忘れなさい」と言われた記憶。

早川:な、なんだろう。(苦笑)

KP:それを思い出しました。あと、キーワードを一つ、差し上げます。はい。(カード渡す)

樋口・相模:「かくれんぼ」?

早川:ははあ。でもこれ、まだ全然繋がらないから、言わない。キャラ的には、まだそれどころじゃねえし。というか、へたり込んでるから。無視して行ってくれていいから。

樋口:いや、行かねえよ!(笑)お前、俺をなんだと思ってるんだ。(一同笑)

相模:「とにかく俺は外を見てくるから、ちょっと待ってろ!」(一同笑)

KP:死亡フラグ。(爆笑)

 

 ひとまず、3人は室内のイスに戻って腰を下ろした。そして手持ちのペットボトルや食べ物を取り出し、ぼそぼそと口にする。早川がやや落ち着いたところで、応急手当ての心得がある相模が、鳥越要が死んでいることを確認した。相模は、要の顔にハンカチをかけてやった。

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