トオキ ハル

時は早春、卒業式も間近な三月のとある日。

「仲良し三人組」の高校生たちが、思い出の地で遭遇したある事件とは…?

――出口のない森――

 

樋口:では、しばらく経って、水飲んでるのを見て。どうだ早川、落ち着いたか。

早川:ああ、大丈夫。悪いけどちょっと、行ってきてくれないか?

樋口:お前を一人で、ここに残していけるか。手ぐらいは引いてやる。

早川:大丈夫、一人で歩ける。

相模:とりあえず、行ってみるか。

KP:では、外に出ようとして、その前に要さんのほうをちらっと見ると、顔にかけたハンカチが落ちています。で、そこから何かが、ちょろちょろっと走り去っていきます。

早川:ひぃ!?

樋口:鼠か?〈目星〉とか出来る?

KP:まず、SANチェックお願いします。

樋口:ぐばー。29、成功。

相模:15で成功。

早川:あ、やっちゃった。

樋口:99!(笑)

相模:あっはっはっはっは!(一同爆笑)

樋口:確率的に、ありえねえだろ!?(爆笑)

早川:ありえないですよねえ。(笑)いやあ、クトゥルフは相性が良くって。

KP:成功は0、失敗で1。

早川:いやー、どんどこ減っていくね。

KP:で、思い出すことがあるんですが。(一同笑)

早川:またか!

KP:昔の記憶じゃなくて、最近の話なんですが。学校の噂話で、最近、街中で鼠がよくちょろちょろしてる、って話を思い出しました。

 

 それは空き別荘で繁殖したネズミが、その建物の取り壊しに伴って町に出てきたという、ある意味では都市伝説めいた噂。

 

早川:ああなんか、だんだん面白くなってきたぞ、プレイヤーは。(笑)

樋口:このやきもき感が、なんともいえないね。(笑)

KP:で、キーワード。「見つける」。

相模:キーワード?「戦え」とか?(一同笑)

早川:なにとー!?

KP:人生と?(一同笑)

樋口:まあ、戦え、何と、と来たら、人生と、と続くよね。(笑)

相模:いや、言われなくたって戦うんだけどさ。(笑)

早川:人生じゃしょうがねえな。すべからく人はそういうもんだ。本当に、いつになったら私、冷静になるのかしら。(一同爆笑)

樋口:俺が聞きたいよ!(笑)お前が冷静になってくれないと、俺たちいつまでも、ここから出られないんだよ!(一同笑)

KP:あっはっはっはっは!(爆笑)とりあえず、ちょろちょろ走り去ったものが何だったかは、〈目星〉振って。(笑)

樋口:はーい。失敗。

早川:〈目星〉って、これか。だめですよ。

相模:大丈夫。ぎりぎり成功。

KP:まあ、たぶん、鼠。

早川:じゃあこっちは、気のせいだったという事にしておいて、さっさと冷静になろう。

相模:とりあえず、ほら、行くぞ。

 

 3人は、ログハウスの外に出た。だが、目の前にあるはずの本道に出る道が、無い。そこは周囲と同じ、一面の森になっていた。

 

樋口:「あれ? 確か、道、あったよな?」と言いながら、ぐるっと回ってみるんだが。

KP:はい。どこにも道は無いです。

早川:あ、そうだ。グーグルアース的なもので、一応見てみる?

樋口:あれってあらかじめ撮っておいた写真だから、道がある画像しか出ないぜ。(一同笑)

早川:そう、そうなんですよ。(笑)でもキャラクター的には、おかしいなと思って、見ちゃう。

KP:はい、画像では確かに道はあります。

樋口:覗き込みながら。「どういうことだ? そもそも、道が無いんなら、俺たちはどうやってここに来たんだよ!」(笑)

相模:切れんなよ。(笑)「でも、おかしいよな。本道、全然見えないぜ」森を覗き込んでみる。

 

 どこまでも木が連なる森を、相模は透かす様にして見た。その中を、背丈の小さな影が4人、笑いながら駆けていく。それは、要を含めた、幼い頃の相模たち。
その影は、現われたときと同じく唐突に消えた。

 

KP:一応、SANチェックしてね。

相模:うん、大丈夫。…ちょえー。(笑)

樋口:どうした? 何かいたか?

相模:これは普通に言うな。SANチェック失敗してないからな。(笑)「い、いま、昔の俺たちが見えた」

樋口:「子供がいたのか!?」林の中に入ろうとする。(一同笑)

相模:「よせってば!」(笑)何となく、止めちゃいますよね?

樋口:うん、止めてくれること前提。(一同笑)

KP:そんな事やってると、きぃー、きぃーという、ブランコの音が聞こえてきます。

樋口:びくっと、喋るのをやめて、そっちを見る。(笑)

相模:恐る恐る見てみる(笑)。見えます? ここから。

KP:ちょっと隠れてるかな、角だから。

樋口:ちょっと移動してみる。

KP:はい。そうすると、丸太が腐って傾いたブランコが、揺れています。こう、思いっきり。

相模:立ちこぎでこいでる、ぐらいの勢いで?

KP:そんな感じ。誰もいませんが。

相模:ちょっ…。

KP:はい、SANチェック(笑)。

 

 このSANチェックでは、相模と樋口が失敗。それぞれ2点と4点の正気度を失った。

 

相模:ちょっ! あれっ! 動いてる!

樋口:何だあれは!?

 

 驚愕の中、幼い頃の記憶が甦る。それはこの遊具がまだ、立ち腐れていない10年以上前の出来事。みんなで遊んでいる最中、鳥越要の親が、彼女を連れて帰るためにやってきた記憶。そう、要は体が弱かったせいか、3人よりも先に帰ることが多かった…。

 

KP:はい、キーワード。好きな方引いて。(裏返しに2枚出す)

相模:好きなほうを、とか言われたよ(笑)?(引く)「寂しい」と書いてある。

樋口:うむ、「子供」と書いてある。ふーむ。「一体、何が起こってるんだよ。俺にはもう、訳が分からない」

相模:これって、思い浮かんだ、なんですか? それとも、自分が感じた?

KP:思い浮かんだ、ですね。さっき言ったような光景がまず、記憶のフラッシュバックとして浮かんで、それと同時に、そのキーワードが浮かぶ、だと思って下さい。その光景を見た感想とか、そういうのじゃないです。

樋口:「なあ、早川。ツイッターは、使えたんだよな?」

早川:あ、ああ。

樋口:「メールでもいい。さっきのグーグルアースでもいい。ここで死体を見つけたって、書き込んでくれ。人に来てもらおう!」と、弱音を吐き始めます。(一同笑)一気に4点減っちゃったしね。

KP:なるほど。(笑)じゃあ、メールでも何でも書き込んだ、っと。では返信待ちとか何だかんだで、1時間が経ちました。これで、不定の狂気の20%の値が、リセットされます。

樋口:良かった…。やばいところだった。

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