トオキ ハル
時は早春、卒業式も間近な三月のとある日。
「仲良し三人組」の高校生たちが、思い出の地で遭遇したある事件とは…?
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探索者作製 | オープニング・1 | 謎と恐怖・1 | 真相究明・1 | クライマックス・1 | エンディング |
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謎と恐怖・3 | 真相究明・3 |
――「ことば」の戦い――
KP:では、戦闘開始します。まず、鼠の行動。皆さん方にまとわりついて、齧ろうとします。
早川:さあ来いや。
KP:これ、群れでいるので、こちらの判定は自動的に当たります。その代わり、クリティカルもしません。
樋口:回避すると、説得行動は行なえない?
KP:そうなりますね。払うのに必死、という事で。
早川:回避できねーじゃねえか、そしたら。
樋口:いや、みんなはしろ。まずは、〈心理学〉である程度当たりをつけなければ、キーワードを使う意味がない。
早川:〈言いくるめ〉はあるから、攻撃は出来るよ?
樋口:ぶっちゃけ、〈言いくるめ〉するんだったら、キーワード目差した方がいいと思います。要のPOWを18と仮定すると、MPを削りきるのは、かなり大変ですよ。あと、後味良くないし。
早川:そうだね。じゃあ、最初は任せた。
ネズミの攻撃では、それぞれ樋口(2点)、相模(1点)、早川(3点)のダメージが入った。
樋口:では、演出でちょっと前に出て、「なあ、要。お前の声が聞こえないんだ。お前は何を伝えたいんだ?」〈心理学〉。うーん、だめです(笑)!
KP:ぱくぱく。んで、…回避しても、〈心理学〉は振れるでいいや。
樋口:あ、じゃあ私、別の行動とっていい? ダメ元で、〈応急手当〉。18%あるし、やらないよりはマシ。(ロール)09! 成功してるー!(ロール)齧られてる痛そうな人、1点回復した。
早川:今のが帳消しになりました。(笑)
樋口:いや、良かったじゃないですか。殴った分は返しておかないと。(笑)
早川:これで7点。(笑)痛かったわー。あんた、鼠以上に痛いわ。
樋口:いや、当たり前です(笑)。
KP:では、2ラウンド目。どうする? みんな避ける?
このラウンドは樋口と早川が回避を選択し、どちらも成功。相模は〈応急手当〉のために回避せず2点のダメージをくらい、早川を治療して3点を治した。
樋口:では、〈心理学〉みんな振ってくれ。出た!
KP:では、演出無しでシステム的に。要にかける言葉に、組み込むキーワードは3つです。ちなみに、選んだ言葉に正解が含まれているかどうかは、言葉をかけた次のラウンドでヒントが出ます。どんなヒントかは、その時をお楽しみに。
相模:幽霊に正解を選ばせる、全く新しいシミュレーションゲーム。(一同笑)
早川:まあ、ここで残ってる候補は、全く的外れではないと思うんだ。だから、思いついたことを言ってみる、というのは手ではあるかなあ。
KP:こっちとしては、それで試行錯誤してもらうつもりで、このシステム組んでますんで。
早川:当たり引いてから組み合わせる、ぐらいの感じですか。
KP:それでいいんじゃないかな。耐久力を齧られきらなければ(笑)。
相模:じゃあ、次のラウンド、行きましょうか。
KP:(おやつ中)ではまず、全員、回避しないでいいかな。もぐもぐ。(一同笑)
早川:何か齧ってるー(笑)!
相模:キーパーが何か齧ってる! って、違うっ(笑)!
ネズミの攻撃は、樋口に1点、相模に1点、早川に2点のダメージを与えた。
相模:「カナ! 助けに来たよ!」と言ってみる。
KP:ふんふん。そうだね、特にカナの様子に、変わった様子は見えない。
相模:これじゃない。次。
樋口:要。忘れられるのは、寂しいもんな。俺たちはもう、お前のことを忘れたりしない!という訳で、「忘れる」と「寂しい」のワードを入れてみた。
KP:そうだね、表情が、明るくなった気がする。
樋口:ほう! このうちの、どちらかが当たりなのは分かった。
早川:かくれんぼのとき、見つけてあげられなくて、ごめんな!
KP:「かくれんぼ」と「見つける」か。変わらない。
早川:あ、なるほど。
樋口:つまり、これが外れなのは分かった。随分絞れましたね。あ、これは違いますよね?(「鳥越要」のカードを避けようとする)
KP:ん? それ?
樋口:え?(キーパーの表情を見て)これが入る場合は、3つのキーワードを使っていたことになりますが?
KP:ああ! 言ってたっけ! すまんすまん。うん、名前を読んだときに、反応ありましたよ。
樋口:ヒットの可能性、あり。というかこれ、確実にヒット。(笑)
KP:はーい。(笑)で、次のラウンドになります。避ける人います?
樋口:避けません。
早川:うーん、まだ大丈夫でしょ?
KP:全員避けない、でいいかな? そしたら、樋口くん、1点。相模君は、1D2になります。えーと、2点。で、1D3。1点。
樋口:な、なぜ?
相模:キーワードが、当たったからだ。
樋口:そういう事か! これは、2個当てたから、ってことなんだよね?
KP:そういうことです。
相模:そろそろうちは自分に、〈応急手当〉をしよう。後は任せた。(ロール)うん、成功した。(ロール)3点治った。
樋口:じゃあ、こちらですね。「要、俺たちは、大人になったって、お前のことを忘れたりしない!」
KP:ヒット! そう言った途端に、辺りに群がっていた鼠が、いっせいに逃げ出していきます。で、人面鼠はうろたえたように、その辺りをうろちょろしています。で、幽霊の要が、「稔くん。真司くん、海くん。私のこと、忘れないで」
樋口:もう、忘れねえよ。
相模:忘れない。
KP:で、イメージというか、要の記憶が伝わってきます。かくれんぼのときに、隠れていたら、苦しくなってしまって、声も出せなくなった事。皆さん方がいなくなってしまったこと。で、その後はよく、自分では分からないけど、幽霊だったころの記憶として、皆さん方がその別荘地に、来なくなってしまったこと。で、かくれんぼで忘れられた、ここにいる事も忘れられた。で、そういう事を思っていると、何かが来たそうです。イメージとしては、ねずみなんですが。
樋口:…なるほど。
KP:で、皆さん方が、お前のことを忘れないようにしてやる、と。
相模:ははあ。
KP:そういう風に言われて、お願い、って言ったそうです。そしたら、こういうことになってしまったそうです。
早川:ふーむ。
KP:で、要は、皆さん方を見て。「私のことを、忘れない。…ありがとう」と言って、幸せそうな表情になって、消えていきます。で、はっと気が付くと、そこにあった鼠に齧られていた死体も、消えています。
樋口:鼠もいない。
KP:はい。人面鼠もいなくなってます、いつの間にか。
相模:…これで、いいん、だよな?
樋口:たぶん、な。
相模:はぁー…。ため息。
早川:あいつ、天国行っちゃったのかな。
相模:だといいな。
樋口:言い訳は、出来ないよな。だけど、思い出したんだから、忘れずにいようや。
相模:うん、そうだな。
樋口:…帰ろうぜ。
KP:そうして皆さん方が屋根裏部屋から降りると、窓の外はもう真っ暗です。
樋口:腕時計を見る。
KP:はい、全員の時計が、ちゃんと合ってます。夜の7時ぐらいですかね。
樋口:で、扉を開けてみると、道がある。
KP:はい、あります。
樋口:ああ、真っ暗だな。
相模:早く帰ろうぜ。
KP:で、そうやって、皆さん方が道のほうへ行こうとすると、「待って」と、声が聞こえます。
樋口:振り向く。
KP:要が立っています。「ごめんね。怖かったよね」
早川:シンプルに言うかな。「気にすんなよ、友達だろ?」
KP:で、にこっと笑って、今度こそ本当に消えます。
相模:じゃあ、もう一回。…帰ろうぜ。
早川:うん。
樋口:もう、忘れないからな。