トオキ ハル

時は早春、卒業式も間近な三月のとある日。

「仲良し三人組」の高校生たちが、思い出の地で遭遇したある事件とは…?

――真実の糸口――

 

樋口:なあ、…確認しよう。

早川:あ、ああ。

樋口:鳥越は、もう死んでた。じゃあ俺たちが、一緒につるんでたのは、誰なんだ?

早川:というか、そこに遺体があるんだよね? その子は誰?

樋口:うん。振り返ってみる。

KP:はい。振り向くと、遺体がありません。

樋口:えっ!?

早川:うわああぁああ~!?

KP:SANチェック。

樋口:えええ~?(笑)成功。

相模:消えたー!?(爆笑)成功。

早川:もう無くなってる~!? 失敗した。(一同笑)

樋口:安定の早川。(笑)

KP:成功で1点、失敗で1D6。

早川:もう、腰を抜かす役だと思うんだよ。(笑)おお、1で良かった。子供の頃は、よわむしんじと呼ばれてたと思うんだよ。(一同笑)

相模:なきむしんじとか。

 

 今度のフラッシュバックは、小学校に入学したばかりの頃のものだった。先生がみんなに、「将来の夢」を聞いている。その問いかけに、要は答えなかった。悲しい顔をしていた。

(早川はキーワード「大人」を獲得)

 

樋口:「そのころは、鳥越はまだ、いたんだよな」もう、自分の記憶が疑わしい。(笑)

早川:いやそこは、プレイヤーとしてはちゃんと確認するところでしょう。いたような気がする、じゃ困るんだ。

樋口:これで不定の狂気になると、「早川、お前たち本当にいるのか」になっちゃうんだよね。(笑)

相模:むしろ、「俺がいるのか?」って話になります。(笑)

早川:愉快なパラノイア。

樋口:では、そうならないように頑張ろう(笑)。

相模:この町に鼠が大繁殖する前に。(笑)

KP:ぶふっ!(笑)パニックホラーになっちゃう、それ。(笑)

樋口:もう、近いけどね!(笑)

 

 ここでプレイヤーたちは、今までにそれぞれが得た情報を交換し、その内容をまとめた。

・鳥越要は、8歳のときに亡くなって、その遺体が別荘地で発見された。死因は病死。
・要は体が弱く、恐らく余命が無かったらしい。
・要が死亡したのと前後して、「ネズミに食われて死んだ子供」の怪談が広まった。

 また〈アイデア〉の成功で、遊んでいる最中に要が気絶したのが、小学校2年生になる直前だったこと、3人とも要の葬儀に参加した記憶がないこと、が明らかになった。

 

KP:もう少し詳しく言うと、要さんと、いつから会わなくなったかが、漠然としてます。あの子は死んじゃったよ、とか、そういう風に言われた記憶がない。

樋口:そこが始まりか? 俺たちの記憶が、変になってるのは。そういう事なのか?

相模:どんだけ記憶を曇らせる奴らがいるんだ。(笑)

樋口:でも、普通だったら、覚えててしかるべきことだからね。なのに、俺たちは思い出せない。

相模:友達の葬式だったら、忘れないよな。

KP:じゃあ、その辺りをもっと明白に思い出そうとするなら、もう一回〈アイデア〉して下さい。

樋口:はい。…00ー! ここで来たー!

相模・早川:成功。

早川:爆笑。(笑)

樋口:だめだ、何も覚えてない。(一同笑)

KP:えー、どれだけ明確に記憶を探しても、小さいときにお葬式に出たという記憶がありません。そもそも知らされてなかった可能性があります。葬式のことを。

早川:うーん、それは子供だったから?

樋口:いや、そんなわけは無い。普通は、子供でも、訳が分からなくても、連れて行かれるもんだ。

KP:で、要さんと、最後に会った記憶。かくれんぼをしてた記憶です。

樋口:これは、全員思い出していいの?

KP:…成功した人だけ。(一同笑)

樋口:だめだ、何も覚えてねえ。(笑)

KP:小学校2年生の春に、この別荘で要さんと、かくれんぼをしてた、というのが確か、最後だった気がします。

相模:確か、かくれんぼした記憶はあるんだよな。

早川:そうそう!

樋口:俺は覚えていない。それは確かか?(一同笑)

早川:ま、まあ、たぶん(笑)?

相模:俺とこいつが一緒に覚えてることだから、たぶん。

樋口:あ、ああ。(狼狽)

KP:あっひゃっひゃっひゃ。(爆笑)

相模:…決めようぜ、俺たち。

KP:うん?(笑)

相模:二人以上、同じ記憶がある場合は、本当だと思おうぜ。(一同笑)

樋口:あと、今分かってることについては、メモ帳に残しておこう。(笑)

早川:そうそう、そのために我々は筆記用具を持ってきたのだよ。とプレイヤーは言った。

樋口:で、これでまとめていった。かくれんぼが最後なんだな? そういう前提で話そう。(笑)

早川:そう、だな。

樋口:覚えてないから、仕方ないんだよー。(笑)だとすると、そのかくれんぼのときに、誰が鬼になって、どんな風に遊んで、いつ帰ったんだ。

早川:うーん?

KP:では、「かくれんぼ」のキーワードを持ってる早川くん。〈アイデア〉。

早川:んんん~?(笑)頑張るよ、頑張るよ?

樋口・相模:頑張れー、頑張れー。

早川:頑張った。普通に成功。

KP:かくれんぼの鬼は、あなたでした。(一同笑)

樋口:お前か!(笑)

KP:他の3人がもちろん、隠れました。…で、「見つける」も早川くんなのか。(笑)〈アイデア〉。

早川:うお、11とかいってる。5分の1成功。

KP:そうすると、要さんだけ、最後まで見つかりませんでした。

樋口:なんていうか、ダイス目の罠なんだけど、勝手に犯人にされちゃってかわいそう。(笑)

KP:いや、つか、あの、「大人」も早川くんでさ。(苦笑)

早川:なんかだんだん、詰んでるような気がしてきたじょ。(一同笑)え、〈アイデア〉ですか?

樋口:どういう事? って感じだよね。(笑)

早川:うりゃー! あ、5分の1成功。(一同笑)なんかもう、どんどん記憶がきれいにこう、なんか。鮮明に思い出せる気がする。

相模:いままで忘れてたことが。(笑)

KP:そうすると、要さんは、親が迎えに来て、みんなが遊びたいのに帰っちゃうことがよくあった、という事を思い出します。で、「子供」のキーワード持ってる、樋口くん。

樋口:私でございます。32、成功。/p>

KP:そうすると、かくれんぼをして、要さんだけ見つからない、という状況のとき。あなた方、たぶん、お父さんたちが来て、連れていっちゃったんだ、って思いました。何でかっていうと、その少し前に、車の音が道のところでしたからです。

樋口:ふむ。…俺たちは、要がまだ見つかってないのに、勝手に帰ったと思い込んで、そのまま、引き上げたのか?

KP:はい。そういう記憶が、思い出せます。…で、全員、〈心理学〉。

相模:02。入った。

早川:すごーい。

樋口:俺だめ。50%もあるのになあ。

KP:そうすると、今、皆さん方が思い出した記憶というのは、些細なこととして忘れていた記憶です。皆さん方がなぜここにいるのか、とか、突然いたのか、とか。あと、いないはずの高校生要さんがいたとか。そういう風に、記憶の改ざんではない、です。あまりにも些細なことだったので忘れてしまった、そういう類のことです。

相模:いつものこと、だと思い込んだがために、忘れていたこと、という事ですね。

KP:そういう事です。

樋口:でも、変だろ、それだと? その日のうちだったら、そのままうっかり忘れて、という事もあるだろう。でも、その日が最後だったら、それは気にするだろう! 普通は!

KP:また、〈アイデア〉。

全員:成功。

KP:はい。皆さんがたの学校、海外留学が多いわけですが。(笑)1年生のころ、遊んでいて気絶して倒れちゃったころ。要さんがね。そのころ、要さんが、2年生になったら、海外に行くらしい、と噂で聞いてました。

樋口:なるほど。今となっては、手術なんだろうなあ、と思ったりもするが。(苦笑)

KP:で、ああ、要ちゃん、海外留学に行ったりするのかなあ、と漠然と思ってました。

相模:それでみんな、行くのかな、って思って。

樋口:時期が時期だから、そのまま行っちまったんだと思ってた…? そして、そのうち忘れてた、ってことか?

KP:はい、それで正解です。

早川:…うっわー。

樋口:がっと床を蹴っ飛ばして、「くそっ! 誰も言わない訳だ! 俺たちが、殺したようなもんじゃないか!」

PageTop↑

inserted by FC2 system