トオキ ハル

時は早春、卒業式も間近な三月のとある日。

「仲良し三人組」の高校生たちが、思い出の地で遭遇したある事件とは…?

――誰が混乱を助長する?――

 

 その時。

 がりっ、がりがり。…ぼりっ。樋口の叫びに合わせるように、屋根裏部屋で嫌な音が響いた。

 

早川:ぼ、「ぼり」?

相模:「ぼり」って、嫌なんだけど…。上を、見ましょう。

KP:はい。そうすると、ここ。屋根裏部屋の入口の縁に、小さい鼠が、たくさんこう、いる、ごそごそ動き回ってる姿が見えます。

早川:…………!(息を呑む)

樋口:…うむ。俺たちがここに閉じ込められてるのも、当然だよな。鳥越は、俺たちのことを…!

早川:恨んでる、かもな。俺たちがもっと、ちゃんと探していれば…。

KP:あ、ここまでの答え合わせで、1時間経ったとします(笑)。正気度はリセットします。

早川:それでも63からかあ。

樋口:さて。俺たち、どうやったら許してもらえるんだ。(笑)

早川:いや、この場合、探しに行かなきゃいけないと思うんだけど。

樋口:いや。警察が遺体を発見した、ってあっただろ。何を探したらいいんだよ?

相模:そう、なんだよな。もう、遺体はここにないはずなんですよ。普通なら。

KP:うんうん。(にやり)…そうやって考え込んでいると、天井裏から鼠が一匹、ちょろちょろっと来て、ここで立ち止まって、何かを齧ってます。

樋口:えーと…。嫌だけど見る。(苦笑)

KP:子供の指です。SANチェック。

 

 ここで正気度を減らしたのは、樋口(2点)と早川(4点)。そして一人冷静だった相模が、そのネズミの異常に気付いた。

 手は人のように親指が別れ、その顔には鼻面がない。耳は顔の横についている。そう、まるで、人間のように…。

 

相模:ちょっ。(笑)「こ、これか! 鼠!」

KP:で、あなたが気づいたのに気づくと、にやりと笑います。

相模:ぎゃぁあ。(笑)

KP:で、そいつは指をぽいと放り出すと、ちょろちょろっとまた、天井裏に上がっていきます。

相模:ああ、それだったら、言っちゃうな。「上行くぞ!」

樋口:「ま、待て相模!」掴む!

相模:これがあるからね、「助ける」のキーワード。「あれ、子供の指だ! なんかあるんだよ、上に!」

樋口:「罠だって、絶対!」(一同爆笑)

KP:(爆笑しながら)罠か! そーかそーか(笑)。

樋口:「ここに鳥越の死体があるわけなんか、ないんだ! 行けば、俺たちも、同じように、齧られる!」(一同大爆笑)

相模:何これ。(爆笑)

KP:いや、OKOK!(爆笑)ホラーらしい! ホラーっぽい!(笑)

早川:じゃあ、こっちは、こう言うな。「俺たちが償うためには、まず、探しに行くことが先決だろ! そうじゃないのか?」

樋口:わかんねえだろ! 見つけて欲しいっていっても、見つけるものが何もないんだったら、それは絶対に出来ねえって事だろうが!

早川:「見つけられるか、られないかは、別なんだ! 探しに行くことがまず、あいつがして欲しいことなんじゃないのか!?」ちょっと、ほっぺたやっちゃうかな。ばん。

樋口:こぶしで殴る。殴り返す(笑)。

相模:痛い、痛い痛い(笑)。

KP:じゃあ、ダメージ出してもらおうか。

樋口:こぶし? 1D3+1D4? ごめん、5点。「ふざけんな! わかんねえのか! 探して欲しいだけだったら、鼠なんかに齧らせる必要、ねえだろ! 俺たちを閉じ込めたり!」

相模:やめろって! お前も、落ち着けよ!

早川:だってよー、恨みがあるんだったら、子供の頃の要の姿で出てくればいいんじゃないのか? こんな、回りくどい鼠の、演出? 出さなくても。

樋口:恨んでるなら、当然だろ? 同じ目にあわせる、っていうのはさあ。

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