トオキ ハル
時は早春、卒業式も間近な三月のとある日。
「仲良し三人組」の高校生たちが、思い出の地で遭遇したある事件とは…?
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――そして、本当の悪魔――
KP:ふむ。…そうすると、げたげた笑う声が聞こえます。SANチェック。
樋口:はーい…。成功はした。
相模:成功。
早川:うん、成功…、ん? んん? だめだ、成功してねえ!
KP:成功で0。失敗で、1D2。
早川:えーと。2だね。(笑)
樋口:これで、リセット後でも6点か…。この先のダイス目次第で、一発でいきかねないな。1D6とか言われたりしたら。
KP:うん。(笑)
樋口:という、あんたの発狂の危険性もあるので、外堀埋めようとしてるんだよ。まあ、錯乱プレイが楽しい、ってのもあるけど。(一同爆笑)
相模:こんな、堂々と錯乱できるゲームなんて、他にないし。(笑)
KP:で、さっきのげたげた笑う声なんだけど、ここの階段のところにいる鼠から聞こえた気がする。〈アイデア〉。
樋口:全員?
KP:いや、樋口くんだけ。
樋口:うん、成功。
KP:要さんって、そういう子供だったと思う?
早川:それなんですよね。それそれ! 小さいころ、どんな性格だったかって、思い出していいのかな? こっちは。
KP:うん、いいです。まあ、病弱であり、そのせいで引っ込み思案で、華やかな性格ではなかったけど、みんなと一緒にいることが楽しかった、一緒に遊ぶことが幸せだった、そんな子供でした。で、〈心理学〉。全員振っていい。
早川:うーん、出ないー。
相模:だめっ。
樋口:だめです。ぎりぎり足りないのが続くなあ。
KP:うーん、惜しいなあ。(苦笑)そうだな、ここまで来たら、プレイヤーで推測してることがあったら、言っちゃっていいよ。なんかさっきから、ダイス目が惜しいのばっかだし。(笑)
樋口:まあでも、これはダイスゲーだからしょうがないし。推測って言っても、大体は分かっているんだよなあ。だから後は、それをいかにゲーム的に落としこんでいくかな、って話だと思うから。例えば、人面鼠を一匹捕まえて、その顔が違うってことを確かめるとか。
KP:ん? 鼠の顔は要じゃないですよ。なんか知らないおっさんの顔です。
樋口:でもそれ、俺は見てないから。
KP:ああ、見たのは相模くんだけか。
樋口:とにかく、鼠と要がイコールじゃない、というのが分かれば、落ち着くから。
相模:そう思い込んでる、というのは、さっきの発言で分かるよね?「落ち着けよ。お前ひょっとして、あの鼠が、要が恨みに思ってあの鼠呼んだって思ってんのか?」
早川:あいつがそんなことする訳ねえだろ!
相模:全然違うよ。あんな、おっさんみたいな顔してるわけねえだろ、要が。
樋口:おっさんみたいな顔?
KP:そうすると、そいつがまた、げらげらと笑い出します。で、顔をじっくり見るんだったら、SANチェックになります。
樋口:いい、覚悟の上だ。そして成功した。
早川:ちょっと待って、そのノリって、ここで失敗する?(笑)
樋口:見なくていいよ、君は!(笑)
早川:まあ、気付けの一発でもしてくんな? よいしょっ。あ、上手くいった。
KP:では、0ポイントです。
早川:ふう。あ、あれ。あれ。要じゃねえ。
樋口:なんだよそれ。…お前、誰だ!(一同笑)
そのネズミはまた、げらげらと笑った。そこにはあからさまな嘲りが込められている。それに気付いた樋口たちが腰を浮かすと、ネズミはちょろちょろと屋根裏部屋に逃げ込んだ。
樋口:来いって言ってるよな、あいつは。
早川:行かなきゃ、はじまんねえだろ?
樋口:いつでも逃げられる準備は、しとけよ? 罠かも知れない。でも、あそこぐらいしか、手がかりは無いしなあ。いや、そこらへんの扉を先に開けとく、って手もあるけどな(笑)。
ひとまず冷静に(本当か?)なった3人は、まず早川の怪我を治療した(3点回復)。またここでキーパーから「お互いが獲得したキーワードの共有化」が指示される。
(だってみんな、もっとあっさり話すかと思ってたんだよー)
相模:俺が今まで思い浮かんだのが、「悔しい」「寂しい」「助ける」なんだよ。
樋口:早川、お前は無いのか?
早川:じゃあ、これこれこういうわけで、こんなにたくさん。(笑)
相模:そんなに!?(一同笑)多いな!(笑)
早川:だって俺、かくれんぼの鬼だったからさー。適当に後付をした。
樋口:その分、責任も感じてたのかもなあ。
早川:一番悪いのは俺ー。(笑)君の論法でいくと。
樋口:そんなことは無いさ。
相模:もう帰ろう、帰ろう、って言って、帰っちゃったのは、俺たちも同じだからな。
樋口:お前一人に負わせようなんて、思ってねえよ。それはそれとして、俺はねえんだよなあ。(笑)「子供」だけだ。
KP:うん。(笑)
樋口:でもこれは、関係無しに頭に浮かんだって事は、送り込まれたとか、そういう事なんだろうな。問題は、誰が、ってことなんだろうけどな。
KP:〈アイデア〉、または〈心理学〉。どっちでもいいです。
樋口:〈アイデア〉。成功。5分の1成功。
相模:〈アイデア〉。普通に成功。
早川:失敗、ごめん。
KP:これは、要さんから、あなた方へのメッセージです。ただ、あの化け物鼠からの、ジャミングというか。
早川:フェイク?(笑)
KP:うん。も、混じっています。
早川:ああ~、やっぱり。(笑)
樋口:なるほどね。
相模:キーワードって、これで全部ですか?
KP:全部です。というか、足りなかったら、もっと調査シーン伸ばしてます。(笑)
相模:…精神分析が欲しい(笑)。
KP:うん、だから、〈心理学〉伸ばしてると助かるよ、とは言ったんだ。最初のキャラメイクのときに。(笑)
樋口:50%はあったんだがなあ。ただ、分かっているのは、ここにはたぶん鳥越の、意識も残ってるんだ。
早川:うん、そうだな。
樋口:あいつは今も死んだ屋根裏に、幽霊、って言うのかな。それでいるのかもしれない。だったら、俺たちがやらなきゃいけないだろう。鳥越は、俺たちを恨んだり、するような子じゃない。だよな?
早川:もちろん。
樋口:体弱いのに、無理して、俺たちなんかと遊んでさ。でも、楽しそうだった。だよなあ? これは、記憶間違いじゃないよなあ?
早川:ああ、そうだ。
樋口:だったら、自分ひとり置いてかれたとき、どう思っただろう。
相模:寂しかった、だろうな。
樋口:見つけて欲しかったよな。…俺たちは、忘れるべきじゃなかった。だから、思い出しに、行こうぜ。
相模:大丈夫か、早川?
早川:ああ(笑)。
樋口:待ってろ、なんて薄情なことは言わないよ。
相模:そしたら、下に鼠が来る。(一同笑)
KP:うん、鋭い意見だ。(笑)
樋口:それもそうか。じゃあ、行こうぜ。
そして3人は、明かり(アプリ使用)をつけると二階へと上がっていった。