幽霊屋敷潜入!

夏向けのホラー企画として、有名な心霊スポットで一夜を過ごすことになったTVクルーたち。

だがその廃屋には本物の「悪意」が潜んでいた…!

――突入の前に下調べ――

 

 時は20XX年の7月上旬。とあるテレビ局で、深夜枠の企画が一つ持ち上がった。「幽霊屋敷潜入! 閉ざされたアトリエでの惨劇はなぜ起きたか?」というその番組は、東京都H市にあるマニアの間でも評判のミステリースポットに、レポーターたちを一晩泊めさせて何か起きるか確かめようというもの。担当ディレクターの崎本雄一は早速、コネツテを使って安パイなレポーターと、話題性のありそうな霊能者を取り揃えた。

 

鈴木:H市。それは立川から3駅ぐらい西にあるH市ですか(笑)?(セッション参加者全員八王子市在住)

李:東京にH市は、いっぱいありますよ。八王子、日野、羽村、東村山、東大和、東久留米(笑)。

KP:とりあえずぼかしとく(笑)。H市、ね。

鈴木:ほーほー(笑)。あとこの番組は、ヤラセありですか?

KP:プロデューサーとしては、本物が出る事を期待はしてます。ただまあ、出なかった場合はヤラセでいこう、という指示です(笑)。

鈴木:なるほど。ではそのお屋敷について、下調べしていいですか? 的確なリアクションをするために(笑)。

 

 その屋敷は十数年前、芸術家を志す5人の若者によって共同で借りられていた。しかし彼らはある日互いに殺し合い、全員死んでしまったという。その動機は、今なお不明である。

 

KP:ちなみに芸術家は、全員男性です。

りな:あれ? 一人女性じゃないんですか?(プレイヤーがシナリオ作成時に概要を聞いていた)

KP:ああ、最初はそういう設定だったけど止めた。よく考えたら何だかなー、って気がしたので。

李:ですよね、男の中に一人だけ女性って(笑)。

鈴木:いやあ、でもそれは殺し合いする理由にはなるよな。いや、男5人で全員ホモ、というのも充分ありえる話なのだが。(一同爆笑)

 

 また、李とりなが調べたところ、その屋敷では芸術家たちの事件よりも更に十数年前に、当時住んでいた作家の自殺という事件も起きていることが分かった。

 

KP:で、今度は〈図書館〉を10%引いて振ってください。

りな:10%引きぃ? 15%ですよ。(ロール)あー、逆だったらな。

李:(ロール)失敗。

KP:ちなみに屋敷自体は、その作家さんが入る前から建ってました。

鈴木:…了解。

KP:事前に調べた範囲だと、そんな感じですね。まあ、噂が立つのも当たり前、って所っぽいです。それで皆さんはロケ当日、新宿に集合しまして大型バンに乗り込みました。メンバーはこの4人プラス音声兼ADさん、あと、それぞれのマネージャーさんです。

崎本:李くんは、オレから2人に紹介するよ。

鈴木:はー、この方が霊能者さんですか! 若いですね! 幾つ?

李:(もじもじと)…16歳。

鈴木:わかっ! 若瀬さんの半分ぐらいじゃないですか!(一同笑)

りな:めらっ(笑)。

鈴木:あ、僕の半分でもあるんですけど!

KP:フォローになってねえ(爆笑)! それで今のバラエティの傾向だと、この辺からカメラ回ってるんだよね?

りな:あ、回ってます? あたし〈目星〉とか〈聞き耳〉とか結構高いんで、カメラが回る気配には敏感ですよ?(一同爆笑)

 

 そんなこんながありつつ、一行は車で甲州街道を西に向かった。1時間ほどで到着したのが件の幽霊屋敷、通称「惨劇館」である。

 

りな:屋敷の中は、ディレクターが先にロケハンしたんですよね?

鈴木:あ、僕時間あったら、そのロケハン付き合いますよ。

KP:分かりました。では、屋敷内を簡単に説明します。(マップはこちらをご覧ください)

KP:それで、屋敷に入るスタッフは、崎本さんと音声さんの2人。マネージャーさんは、車の中に残ります。

りな:(冷静に)マネージャー、死んだな。(一同笑)

鈴木:いやいや、この人たちが通報する。死ぬのは僕たち。アンダスタン?(一同爆笑)

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